目覚まし時計代わりのスマートフォンが、
顔のそばで、
必死にボクを起こそうとしている。
「今日は、何の日だかわかっているの!?」
と少年時代
に母親に起こされた記憶がふと瞼の裏側に浮かび上がる。
「母さん、今日?何の日だっけ・・・」
二度目の眠りに落ちる寸前にボクは、
少年時代から現実へとジャンプする。
「きょ、きょうは、ボートシーバスの日だ!!!」
そんなわけで、朝の準備もそこそこに、
井上陽水を口ずさみながらボクは、東京湾を目指した。
(な~つがすぎ~かぜあざみ~♪)
・・・
「お疲れ様で~す。」
マリーナに到着すると、爽やかな挨拶で出迎えてくれたのは、
ジャクソンプロスタッフ、Dマリーナでボートシーバスのガイドもしている、
池上日明氏だ。
少年時代のボールを追いかけていたあの頃のあどけない笑顔が、
今もほのかに残っている。
と言ってもその頃の池上氏をボクが知るわけもなく、
ただそんな気がしただけだ。
サッカー部だったということなので、
ボールを追いかけていたことは間違いないだろう。
とにかく本編まで長いと批判の的になっているボクのブログなので、
ここいらで舞台を東京湾に移させていただく。
男は背中で語る。
「じゃんじゃん釣っちゃってくださいよ~♪」
ボクには、そう聞こえた。
男は横顔で語る。
「灼熱の炎天下、潮止まりです。デッドな状況です。」
ボクには、そう聞こえた。
・・・
というか、そう言われた。
ボクは昼に到着し、夕方はけつかっちんなので、
朝まずめも夕まずめもなし。
一番魚が釣れる「まずめ」カットの、
まさにデッドな状況でシーバスを釣りあげなければならない。
ストラクチャー(船とか柱)の際にいる、
お宝をサルベージしようとするも一回ばらした後は、反応がない。
逃した魚は大きかったとは良くいったもので、
その後は、じりじりとタイムアップの時間が背中をおしてくる。
そんなプレッシャーを感じたのか、
池上さんがストラクチャー狙いから、
オープンエリア(開けた場所)へとポイントを変更。
「ここでしばらく粘りま~す。」
池上さんの声は、いつもと変わらず明るいが、
どことなく緊張感が漂う。
ここが最終戦場。
「水の色が変わっているところ、魚が跳ねたところなど、
つぶさな状況の変化を捉えることが大事」とアドバイスをいただく。
池上監督を信じて、
ボクは、自分なりの変化を感じたポイントにキャスト!!!
するとだ・・・
Gee!
Gee!
ドラグのけたたましい音とともに、
ティップがこうべを垂れる。
Gee!
Gee!
ちなみに「Gee」は少女時代のファーストミニアルバムである。
そんなことを言っている余裕はないのである。
今までに感じたことのない強烈なヒキに、
悪戦苦闘を続けるボク。
池上さんのアドバイスもあり、
なんとかシーバスを船上まで引き上げることに成功!!!